【EP.2】価値を定義する「Garbage In = Garbage Out」
【EP.2】価値を定義する「Garbage In = Garbage Out」
~優れたAIが“初期データ”でつまずく理由~
前回は、「組織構造の設計」は、いわば「車が走るための道路をつくること」だとお話ししました。今回はパソナより、それと同じくらい重要な要素であるAIというスーパーカーを動かすための「燃料」についてご紹介します。
データとAIの世界には、避けて通れない鉄則があります。それが “Garbage In, Garbage Out(ゴミを入れれば、ゴミが出てくる)” です。つまり、どれほど高額な投資をしてAIを導入しても、投入するデータの質が低ければ、AIから得られるアウトプットも質が低くなってしまう、ということです。
HRの領域において、この問題の「盲点」になりやすいのが、私たちにとって最も身近でありながら、見過ごされがちな職務記述書(Job Description:JD)です。
なぜ、従来型のJDでは、現代のビジネスに対応できないのでしょうか?
これまで多くの企業では、JDを「過去のものをコピーして使い回す」、あるいは「柔軟性を持たせるために、あえて広く曖昧に書く」傾向がありました。しかし、こうしたJDをAIに読み込ませて、履歴書のスクリーニングやジョブマッチング等を行うと、次のような “罠” にはまる恐れがあります。
- 曖昧さの罠
JDに「一般的な調整業務」と書かれていると、AIは事務処理が得意な人材を選びがちです。しかし実際には、企業が求めているのは「ビジネス交渉力」を持つ人材である可能性もあります。
- 陳腐化の罠
10年前と同じ業務内容のままJDが更新されていなければ、AIは“旧来型ビジネス”に適した人材を選び、新しいビジネスモデルに合わない事態を招きます。
- 仕事の価値が見えない罠
JDが実態を反映していないと、職務評価が歪み、知らず知らずのうちに職務に対して能力が過不足する人材を採用することにつながりかねないことも考えられます。
良いJDとは、単なる書類ではなく、仕事の価値を定義する「バイブル」です。
パソナでは、JDを単なる業務リストではなく、「価値の設計図」 として捉えることを最も大切にしています良いJDを書くためには職務分析を通じて、以下の3項目を明確にすることが不可欠です。
❶ WHY:このポジションは、何のために存在するのか(Purpose)
❷ WHAT:期待される成果は何か(Key Result Areas)
➌ HOW:成果を出すために必要なスキル・能力は何か(Competency)
これらを明確にしたJDは、HRのさまざまな場面で大きな効果を発揮します。
- 採用
JDに実際に必要なコンピテンシーが明確に記載されていれば、AIマッチングの精度は飛躍的に向上します。
- 評価
上司と部下が共通の認識を持ち、「期待される成果」が明確になることで、業務範囲を巡る無用な摩擦を防げます。
- 人材育成
必要人材育成必要なスキルが可視化されるため、スキルのギャップが分析可能となり、的確な研修設計につながります。
WHY・WHAT・HOW が明確になって初めて、職務評価による職務価値と職務等級を、公平に定義することができます。WHY・WHAT・HOW が明確になって初めて、職務評価による職務価値と職務等級を公平に定義することができます。
職務評価(Job Evaluation:JE):公正な「秤」には、標準化された重りが必要です。
仕事の難易度や責任の重さを「量る」ためには、正確なJDが不可欠です。もしJDが曖昧であれば、何を基準に、どの重りで量ればよいのでしょうか?
- 責任範囲が明確でなければ、部下2人を管理するマネージャーと50人を管理するマネージャーが、同じ価値と評価されてしまうかもしれません。
- 業務の複雑さが書かれていなければ、定型業務と戦略的業務が同列に扱われてしまいます。
だからこそ、質の高いJDは、JEの出発点であり、企業が支払う報酬が「公平で、説明可能なもの」であることを担保します。
パソナが提案する「価値の設計図」へのアップグレード
パソナのコンサルティングサービスは、貴社のJDを単なる「書類」から、組織を動かす「システム」へと再構築します。
- 職務分析・設計
現場へのヒアリングを通じて業務実態を分析し、実態に即したJDを再設計します。
- 職務評価
国際基準に基づき、職務の重さ・難易度・複雑さを公正に評価します。
- 職務等級
将来のキャリアパスを見据えた、標準化された職位体系を設計します。
JDを一度しっかり作り込むことは、最初のボタンを正しく留めること。
それにより、AIはより正確に人材を見極め、評価は公平になり、結果として「適切な人材を、適正な費用で」確保できるようになります。
次回【EP.3】では、職務価値が明確になったその先にある、最も繊細なテーマ「報酬と公平性」についてお話しします。
社員が「この会社は公平だ」と感じながら、同時に企業競争力を維持するための設計とは何か…
どうぞご期待ください。

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