[EP. 3.2] 公平性の代償:価値を評価へ

2026.03.24

[EP. 3.2] 公平性の代償:価値を評価へ 

「仕事の価値」を「報酬」に変える… AIには設計できない“報酬設計の職人芸 

前回(EP.3.1)では、正確な市場データを手に入れることの重要性についてご紹介しました。市場データを手にすると、すぐにでもその数字を使って給与体系を決めたくなるかもしれませんが、その前に少し立ち止まって考える必要があります。 

 
市場データをそのまま当てはめると、高い確率で社員の間に次のような疑問が生じる恐れがあります。 

こうした疑問が生まれる理由は、すべてをつなぐ重要なプロセスが欠けているからです。 
それが 「給与体系の設計です。 

 

The Golden Link… AIが作れない “報酬設計の中核” 

理論上、公平な給与は次の2つのバランスによって成り立ちます。 

 

AIは市場データを収集・分析することは得意ですが、企業ごとに組織構造や役割、仕事に対する価値が大きく異なるため、社内バランスや公平性を理解することはできません。 

以下、AIが判断することができない事例をご紹介します。 

この部分こそが、AIでは代替できない人事設計の領域なのです。 

 

Process of Fairness…「職務記述書」から「給与レンジ」へ 

パソナのコンサルタントは、次のプロセスを用いて職務記述書を実際の給与設計へと落とし込みます。 

  1. 業務分析と職務評価(EP.2の内容)

明確に作成された職務記述書を基に、職務評価を実施し、職務の価値を評価します。そして、価値が近い仕事を同じ等級に分類します。例えば、事務職と製造職を等級別で比較すると、次のような構造になる場合があります。 

Job Grade

Job Grade

このように、両職種の職務の価値がほぼ同等であるSupervisorは同じ等級 4に位置づけられます。 

2. 等級の市場価格設定

等級を給与調査と照合することで、同じ業界内において、各役職等級の仕事に市場がどの程度の給与を支払っているか分析し、給与レンジの中心となる中央値を設定します。 

3.給与レンジ設計 

ここからは人事管理における「職人芸」の領域です。各等級の「最小値(Min) – 中央値(Mid) – 最大値(Max)」をどう設定するか、次のような戦略的な検討が必要です。 

 

Strategic decisions… 給与構造の設計にコンサルタントが必要な理由 

AIは数字の表を作成することはできます。しかし、給与構造の設計とは「経営の方向性」、つまり「戦略」そのものです。そのため、各企業の給与構造や報酬制度を設計する際に、パソナのコンサルタントは次の要素を常に重視しています。 

各企業の人事方針や組織文化に合わせて給与構造を設計します。例えば、「基本給を高めに設定し、その代わりボーナスは比較的少なめにする企業」や「基本給は抑えめに設定し、成果に応じた報酬を高くする企業」など、各企業で報酬戦略は異なるため、その企業の経営方針や人材戦略に則して設計する必要があります。 

給与構造を設計すると、多くの場合次のような2つの社員グループが見つかります。 

AIはこうした問題を検出することはできても、解決方法までは示してくれません。一方、コンサルタントは「昇給計画をどのように設計するか」「給与をどのように調整するか」「必要に応じて給与を据え置くか」といった対応策を、労働法を遵守しながら、かつ社員のモチベーションを損なわないように計画することができます。さらに、給与が上限に達していて、これ以上の昇給ができない問題や、新規採用時に給与が高騰してしまう問題などについても、明確な報酬戦略や昇給ポリシーを設計することで、体系的に解決していきます。 

給与構造は、単に給与を支払うための仕組みではありません。給与制度をキャリアパスと連動させることで、社員が「給与を上げるためには次にどの職位へ進める必要があるのか」、そして「そのためにはどのような成果や能力が求められるのか」を理解できるようになります。このように、給与制度は社員の成長とキャリア形成を後押しする仕組みとしても機能します。 

新しい給与制度を円滑に導入するために、人事向けマニュアルや社員向け説明用の台本などのコミュニケーション支援も行います。 

 

パソナのコンサルティングチームは、貴社の組織に合った体系的な給与構造の構築をサポートいたします。 

給与の問題は、単なる数字の問題ではなく、職務の役割が不明確であることに起因する場合がほとんどです。弊社は以下のサービスを提供しています。 

 

適切な職務記述書と職務評価に基づいた給与構造は、揺るぎない「天秤」となります。市場がどう変わろうとも、「なぜこの金額を支払うのか」を常に論理的に社員へ説明できるようになります。 


次回のEP.4では、安定した給与体系の上で機能する「人事評価」についてお話しします。年次評価を、社員がより成長したいと思えるような仕組みにするためには、どのように設計すべきかについて解説していきます。 

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