[EP. 3.1] AIによる市場調査 — AIが提示する「給与相場」の真実
[EP. 3.1] 公平性の代償:AIによる市場調査 — AIが提示する「給与相場」の真実
前回のおさらいとして「職務評価(Job Evaluation)」を通じて、各役職の明確な価値(職級)を可視化しました。次なるステップとして、組織の根幹に関わる重要な問題が浮かびます。
「このポジションの市場相場は、一体いくらなのか?」
現代では、チャットボットやAIに「給与体系」を尋ねることはとても簡単です。しかし、ここには極めて深刻なリスクが潜んでいます。AIを利用する際に最も警戒すべきこと、それが「AIハルシネーション(AIの幻覚)」です。
データソースの信憑性:AIに「その根拠は?」と問い質す
「そのデータの参照元となった企業名と調査年を教えてください」
AIが提示する給与データの信頼性を検証するために、一度このように質問すると、ほぼ100%の確率で、AIは明確な回答を避け、「オンライン上の労働市場の平均データに基づいて・・・」や「一般的な求人広告からデータ収集した」といった曖昧な返答を繰り返すでしょう。これこそが、データ活用における最大の「落とし穴」なのです。
なぜAIデータだけでは危険なのか?
情報の鮮度不足: AIは意図せずに2023年のレポートを参照し、それを2026年の回答として提示することがあります。しかし、その間にも物価や給与水準はインフレに合わせて変動しているので、時代遅れのデータに参照して給与体系の戦略を立てても実体に合わないということになります。
基本給と総支給額(Total Package)の混同:AIは、 インターネット上の「50,000バーツ」という数字が、「基本給(Base Salary)」なのか、それとも「手当・残業代・賞与等を含めた総支給額(Total Package)」なのか判別できません。そのため、給与体系の設計に過不足が生じる恐れがあります。
ケーススタディで見るAI活用の事例
Case 1:製造マネージャー(職責の罠)
AIの回答: 一般的な工場の相場に基づき、平均給与は6万〜8万バーツ。
実際の要件: 1億バーツ規模のCNC工作機械ラインを管理し、特定のISO専門資格を保持している人材が必要。
結果: AIのデータを鵜呑みにした予算設定では、スキルが足りない候補者しか集まりません。このレベルを統括できる実力者の相場は、既に10万〜12万バーツに達しているため現実的な予算設定ができませんでした。
Case 2:セールスエンジニア(新人による既存社員の離職リスク)
AIの回答: 技術人材のため、新卒給与は3万5,000バーツ。
現実の背景: この数値は、優秀層確保のために高給を提示するスタートアップ企業の平均値に引きずられています。しかし、自社のビジネスに目を向けると、売上の柱であり製品知識も豊富な「シニア層」の給与が3万4,000バーツに留まっている場合があります。
結果:「内部不公平性(Internal Inequity)」が発生。ベテラン社員は不満を感じて離職し、給与は高いがまだ独力で成約できない新人が現場に取り残される事態を招きます。

AI vs Primary Source for Salary Benchmark
一次情報(Primary Source)の重要性:AIは「読者」であり、コンサルタントは「調査員」である
認識すべき事実は、AIは各企業のHRと直接対話してデータを収集しているわけではないということです。AIはあくまで、コンサルティング会社が発表したレポートや求人サイトの情報を「収集」しているに過ぎません。
つまり、AIから得られる情報は「伝聞」に近いものです。これは、実際に調査を行っている一次情報源(調査主体)であるコンサルティング会社と直接対話することとは、情報の質において比較になりません。
パソナHRコンサルティングは、自ら調査・分析を行う「一次情報源(Primary Source)」です。
私たちは顧客ネットワークから直接得たリアルなデータを保有しており、以下の強みを持っています。
- Fresh & Real(鮮度とリアル): ネット上の予測値ではなく、実際の調査・分析に基づいた最新のデータを保有しています。
- Contextualized(背景の理解): 「なぜ特定のポジションが急騰しているのか(例:EV工場新設による人材不足)」といった、数値の裏側にある市場背景を熟知しています。
これはAIには決して到達できない領域です。
パソナの給与調査(Salary Survey):検索だけでは得られない情報水準
「正確」かつ「安全」な意思決定のために、パソナのコンサルタントチームは、AIには代替不可能なプロセスを提供します。
- 顧客の実データに基づくデータベース: 製造業や商社を中心に、タイの労働市場の競争力を正確に反映した「実際の業界情報(Real Industry Data)」を保有しています。
- 職名ではなく「職務内容」で比較: AIのように「職種名(Job Title)」だけで比較するのではなく、「職務内容(Job Content)」を照らし合わせ、適切な比較(Apple-to-Apple Comparison)を行います。
- コンサルタントによる精査: レポート内の全数値は、経験豊富なコンサルタントによる論理的チェック(Sanity Check)を経ており、根拠のない数値は一切排除しています。
「生データ」を「報酬戦略」へと昇華させる
根拠の不明なデータに、会社全体の給与体系を委ねるリスクを冒さないように、当社は、プロとして以下のサービスでサポートいたします。
- 包括的給与調査(Comprehensive Salary Survey): 業界・事業分野に対するP25/P50/P75パーセンタイル等の明確な指標で給与・福利厚生を比較。
- 給与体系設計(Salary Structure Design): 正確な市場データを基に、貴社の支払い能力に合わせた最適な給与レンジの中央値(Mid-point)と幅(Spread)を設計。
- 是正戦略(Correction Strategy): 市場水準を下回る社員または上限に達した社員に対し、体系的な給与調整計画を立案。

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最後にAIによる「速くて無料」の情報を実態に合わない場面で活用すると最も高くつくコストになりかねません。給与とは「社員からの信頼」そのものであり、パソナのような「一次情報源の調査企業」による本物のデータを活用することは、企業の持続可能性への投資となります。
しかし、正確な「市場相場」を知ることは、成功への道のりの半分に過ぎません。より困難な課題は、「市場相場をどう自社の給与体系に落とし込み、既存社員の納得感と新人の採用力を両立させるか」です。
次回は、「市場データ(EP. 3.1)」と「職務価値(EP. 2)」を融合させて、公平でビジネスニーズに合致した「給与体系(Salary Structure)」を構築する方法についてご紹介いたします。
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次回の EP. 3.2もぜひご期待ください。
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