労働法改正案が上院で可決されたと報じられました。

2025.09.26

労働法改正案が上院で可決されたと報じられました。掲載から30日後に施行される見通しです。 

各報道機関によると、2025916日に労働法改正案が上院で可決されたと報じられました。今後は首相に提出された後、国王の承認を経て官報に掲載され、掲載から30日後に施行される見通しです。

今回の審議の主眼は、「妊娠前後の女性社員に対する厚遇」に置かれ、少子高齢化を見据えた施策と考えられます。本法案の本題は出産休暇が120日に拡充であり、施行されれば出産休暇日数が98日の日本以上となります。
 

【改正】出産休暇日数の延長 
現行の98日から120日への延長が盛り込まれています。ただし、出産休暇を取得可能な時期の定義については、現行法と同様に明確な規定がなく、各企業が独自に判断する必要があります。

【改正】出産休暇中の賃金支給期間の延長 
当該休暇中の賃金支給期間については、現行の45日から60日への拡充が提案されています。これは、収入面の不安から女性社員が法定上限の98日間の出産休暇を取得できていない  現状を踏まえ、実質的な取得日数を増やすことを目的とした改正と見られます。

【新設】妊娠期間中の休暇制度 
子供に合併症や障害を引き起こす可能性がある場合、15日間の休暇を連続して取得できる旨が新たに規定されました。ただし、その対象者は「妊婦」とされ、その定義について詳細な説明が待たれます。

その他にも、就業時間に合わせた保育時間の延長、社内保育施設や03歳児向けの新生児保育施設の設置、不妊治療費用の支援拡充など、さまざまな少子化対策が提案されています。また、公務員男性の育児休暇の取得促進が盛り込まれ、将来的には民間企業にも取得を働きかける見通しです。

なお、従来より雇用形態にかかわらず、出産休暇を含む法定休暇は有給休暇や病気休暇の付与・取得を妨げてはならないとされていますが、今回の改正ではその遵守が改めて強調されています。

女性の社会進出が進むタイでは、女性が安心して家庭を築ける環境を企業が整えることが、優秀な人材の採用と定着の鍵となりつつあります。
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本記事は、タイにおける法改正に関する議論の現状を解説するものです。国会で承認されたものの、情報源としてまだ官報に掲載されていない法案を基に記述しています。したがって、本稿の内容は最終的な法的効力を持つものではなく、今後公布される正式な法律とは異なる可能性があります。読者の皆様におかれましては、最新の法律情報を常に確認されますようお願い申し上げます